2019年6月28日金曜日

【故障修理】中華ソーラーチャージャ MOHOO 30A(PWM)

天ぷら油で走るエコカーを引っ提げ、全国漫遊中のFacebook友の齊藤満天さんから故障したソーラーチャージャを譲って頂きました。
回路の勉強を兼ねて修理していきたいと思います。

こちらが問題のチャージコントローラ。出力に負荷を与えすぎて燃えたそうです。
画面は表示されるものの充電は不可とのことでした。
仕様としては12/24V兼用のPWMタイプ。ソーラーパネルの耐圧は50Vと比較的低め。
そのまま電源を入れるのも怖いので、先ずは現物確認します。
基板を取り出してみました。前回のSL-03にはあったシャント抵抗(電流を測定するための抵抗)がなく、PWMの中でも更に廉価なものであることが分かります。
LCDの下にあるチップは、マイコン(型番消去済)、LCDコントローラ(HT1621
B)、オペアンプ(LM258)。安くても秘密はしっかり守る。それが中華 ^^;
FET周りのハンダは流し込みが足りなかったり、足切り忘れがあったりとクオリティ低め。
問題のFET側。全部で6個とSL-03の倍。
むっ! この基板の膨らみは!! うん、しっかり燃えてますね。
念のためFETを取り出してみました。こちらも品名は削除済。
6個あるうち、出力用の1個が短絡状態で故障していました。
FETを外すと回路がよく見えます。FETはSL-03の倍ですが、並列接続されているので実質3個であることが分かりました。中華製品の経験上、FET1個あたりの許容量が15Aかと思われます。部品点数増やしても安い部品を使うとは、さすが中華。
この状態での基板抵抗は、
 G-D間 3.08MΩ、3.12MΩ、1.00MΩ、1.00MΩ、3.22MΩ、3.28MΩ
 S-D間 110KΩ、110K、200KΩ、220K、∞、∞
こういう時は2並列は助かります。恐らく駆動回路は問題なさそう
USB電源周り。XL1509-5.0E1(データシート) は4.5~40V入力、5V 2A出力のDC-DCコンバータです。DC inはバッテリなんですが、太陽光パネルの耐圧50Vなので最悪値としては仕様外かな?
 写真を撮り忘れてしまいましたが、この状態でバッテリ端子に12Vを入れるとLCDが表示されましたが、USBには5Vは出力されませんでした。XL1509のOn/Offラインはマイコンに繋がっていました。問題が発生したら遮断しているのかもしれません。
概ね問題なさそうなので、正常なFETを戻します。出力FETに関してはもともとオマケだし、LEDライトくらいしか使わないので1個としました
結果は大成功!!
太陽光パネル(安定化電源にて30V 1A)からの充電、ライトのOn/Off、USB出力とも良好です。

修理まとめ。故障個所としては、
 1.メイン基板、出力回路焼損 ⇒ ジャンパ線にて修復。
 2.出力FET 2個のうち1個破損 ⇒ 並列動作させているため、破損FETを撤去。
再発防止ですが、
 ・ソーラーチャージャの出力端子は電球を点灯させる程度のオマケ出力なので、インバータ等は絶対に接続しない。
 ・今回の故障とは関係ないですが、USB電源が40V耐圧なので太陽光パネルは40V付近で抑えたほうが良いでしょう。

2019年6月17日月曜日

【故障修理】中華ソーラーチャージャ SL-03 その2

Facebook友の有安さんから故障したソーラーチャージャを譲って頂きました。
回路の勉強を兼ねて修理していきたいと思います。

前回までのあらすじ
・DC-DC Converter XL7015E1 の破損を確認。

Aliに頼んでいた部品が届きました。6/5発注なので12日と比較的早め。10個で379円。
早速載せてみました。ヒートガンを使いたくて無理やりやったらトランスのテープが少し溶けてしまいました。結局うまくいかず半田コテを使いました。 ^^;

 安定化電源にて40V 0.5Aをバッテリ端子に供給し、5.0Vが出力されていることを確認。その後、動作範囲で振ってみて正常動作を確認。

 最後に70Vでの発熱テストです。
内部消費のみであれば40℃と問題ないレベル。
USBを使う方は冷却を検討したほうがいいかも。
少し意地悪な実験
LEV40 7S 60A BMSを接続。バッテリ電圧がきちんと出ています。
・ソーラーパネル(安定化電源 40V 1A)を入力しBMSの充電FETをOffにすると・・・
あらら、40Vになっちゃいました。90V入れてたらXL7015E1の上限80Vを超えてしまうかもしれません。
・いやいや、そんなことない。ソーラーチャージャーの充電停止電圧が56Vなので30Vにすれば止まるはず。 再度充電開始、BMSの充電FETをOffにすると・・・・。
 ソーラーチャージャの画面は36Vと28Vが数秒おきに変わります。オシロで見ると充電、充電停止が定期的に発生しているのが分かります。 ※テスタはバッテリ端子を測定
時間を細かくすると、ソーラーパネル(安定化電源) 40Vとバッテリ 28Vを行き来しているのが分かります。PWM制御ってこんな感じに充電するんですね。
バッテリ電圧=DC-DC Converter 入力電圧なので、太陽光パネルのVocが80Vを超えるとMax電圧を超えてしまうかもしれません。

 ただし、この辺はソーラーパネルの電圧が80V以上の時は止めればいいだけなので、ちゃんど制御されているはず・・・・。

・ソーラーパネル(安定化電源 81V 0.5A)で、充電FET Off
はい。しっかり81.6V流れ込んてきちゃいました。
再度いいますけど、
DC-DC ConverterのMax電圧は80Vです。
 パネル選定の際はVoc 80V以下。条件によっては多めに入る場合もあるので75V以下を選定するのが良さそうです。

2019年6月14日金曜日

【まとめ投稿】DENRYO SK3000-124 24V 3000W 故障修理

Facebook友のTomonori Otaさんから転載許可を頂きましたので、故障修理関連のまとめ記事として掲載します。原文を可能な限り引用しますが、記事構成上適宜編集していますのでご容赦願います。

2019年5月の記事から転載します。

☆メルカリで「DENRYO 24V 3000W、COTEK 48V 3000W故障品」を購入
【出品者コメント】
・DENRYO SK3000-124 24V 3000Wは、使用中にいきなり動作しなくなりました。
・COTEK SK3000-148 48V 3000Wは、接続しようとしたらバチとなってあきらめました。
・部品取りか修理できるかたよろしくお願いします。

☆電菱のインバータ(DC24V-AC100 1500W)を修理する
 インバータ修理に役立つことができれば と思い、急遽重い腰を上げてジャンク箱を開けた。以前ジャンク品で購入したが、DC48Vタイプを修理したため、放置していた。経験値も上がってきたことだし、治して行きたい。
 【天の声】48Vインバータに関しては「【まとめ投稿】COTEK SK3000-148 48V 3000W 故障修理」に掲載済みですので良かったら見てください。

☆故障個所の確認(IGBT周辺)
 まずは左下のIGBT、ゲート、エミッタ、コレクタをテスタで抵抗をみてみる。それぞれ通常では短絡(導通)しない。

両脇のIGBTはもう壊れている様子。
IGBTを取り外した。想像通り、2個とも短絡で故障していた。
 
次にIGBTまわりの抵抗やドライバについて調べていく。抵抗値が明らかに違うものは疑うと良い。R51が明らかに抵抗が低いU1のドライバについても抵抗値が他と異なる
IGBTに紐づいているIC U1 は フォトカプラ HCPL-T250であることがわかった。
1.5 Amp Output Current IGBT Gate Drive Optocoupler

 難航したが取り外せた。ハンダ吸い取り機があると便利。パターンを傷つけないように取り外す必要がある。

ピン番号5-6間が短絡となっていた。
パターンは取り外すことで、正常と思われる抵抗となる。
フォトカプラは沢山種類がある。なおすだけなら同じ型式を入手する。

☆故障個所の確認(FET周辺)
 今度はFET周りを見てみる。昇圧回路で同じような抵抗が実装されている。IGBTと同様にテスタで抵抗をみていくと、明らかに他と異なるものが出てくる。FETにはゲート、ドレイン、ソース端子があり、何もつないでいない状態では短絡・抵抗が低いのは考えにくい。
FET IRF8010(100V Single N-Channel HEXFET Power MOSFET)

 12個中何と6個が怪しい。赤ペンで背に印をつけた。修理にお金がかかりそうだなと思いながら、これらを取り外す。
↑故障、↓怪しい(正常かもしれない)
シャント抵抗(電流検出)は題なし。 ※ 過電流で焼損する場合がある。

基板上、Fと書いてあるのがヒューズであることが多いので確認。
導通があり問題なし

DC入力段のヒューズ、計100A! 全て切れていた。凄い。
取り外そうとしたが下のコイルに引っ掛って取れなかった。恐るべし。保守性が悪い。

入力段のコンデンサC7〜C3、問題なし
見た目はサンヨーだが、ジャミコン WLシリーズ

修理は続く・・・・

スマートBMSの設定について

☆はじめに
 スマートBMSは汎用性が高く細かな設定が可能なのですが、正しく使うためにはバッテリの基礎知識が必要であることから、記事にしてみました。

PC設定ツールそのものの説明は、こちらを参照願います。
  ・リチウムバッテリ用BMS LLT-S14S301(14S用) PC設定

☆設定の流れ は以下の3ステップ。
 1.読込み【Readボタン】スマートBMSに設定値を読み込む。
 2.必要に応じてパラメータを変更。
 3.書込み【Writeボタン】スマートBMSに設定値を書き込む。

☆基本設定【Basic Settings】
・CellOVP(cell over voltage protect)
 バッテリセル 上限(充電停止)電圧 mV
・CellUVP(cell under voltage protect)
 バッテリセル 下限(放電停止)電圧 mV
・PackOVP
 バッテリパック 上限(充電停止)電圧 mV
・PackUVP
 バッテリパック 下限(放電停止)電圧 mV
・ChgOTP(charge over Temperature protect)
 充電可能温度 上限(充電停止) ℃
・ChgUTP(charge under Temperature protect)
 充電可能温度 下限(充電停止) ℃
・DsgOTP(discharge over Temperature protect)
 放電可能温度 上限(放電停止) ℃
・DsgUTP(discharge under Temperature protect)
 放電可能温度 下限(放電停止) ℃
・ChgOCP
 充電電流 上限(充電停止) mA
・DsgOCP
 放電電流 上限(放電停止) mA

 基本はバッテリセル電圧を決め、バッテリパック電圧はセル数を掛けた値で大丈夫です。各々のRelese、DelayはOn/Offが繰り返さないように設定するためのもの。
(例) CellOVP 4250mV、Release 4150mV、Delay 5S
 【BMS動作】
  ・バッテリセル電圧が、5秒間 4.25Vを超えたら充電停止
  ・  〃      、5秒間 4.15Vを下回ったら充電再開
 【目的】リチウムイオン電池は充電停止後少し電圧が下がります。Release電圧が近いと直ぐに充電再開し過充電となってしまうため。

☆拡張設定【Advanced Protection】
・Double Over current and Short circuit protection.
 ハードプロテクトのOn/Off 基本有効でOK 
・DsgOCP2(discharge over current protect stage 2)
 放電電流 上限 mV(シャント抵抗に現れる電圧)
・SC Value(similar to the Dsg OCP2)
 短絡検知    mV(シャント抵抗に現れる電圧)
・Hard CellOVP(hardware over voltage protect)
 バッテリセル 上限(充電停止)電圧 mV
・Hard CellUVP(hardware under voltage protect)
 バッテリセル 下限(放電停止)電圧 mV

 基本的に変更する必要はありません。

☆機能設定【Function】
・Switch
 オプションの外部スイッチがある場合は On
・LoadDetect
 短絡検知後、負荷をBMSが検知している間は復帰させない
・Balance
 バランス機能の On/Off
・Chg Balance
 バランス動作条件 Static(充放電なし)/Charge(充電中)
・LED_EN
 オプション セル毎のLED表示
・LED_NUM
 オプション 残量表示 5:100%、4:80%、3:60%、2:40%、1:20%
・Reserve
 未使用

☆温度センサ設定【NTC Setting】
・NTC1~8
 温度センサが付いているポートの On/Off

☆バランス設定【Balance Setting】
・Start Voltage
 バランス開始電圧  mV
・Windows
 セル電圧の上下差分 mV

☆その他設定【Other Setting】
・Resistor
 センサの固有値
・Pack Num
 BMSのセル数
・Cycle
・Serial number
・Manufacture
・Date
・BarCode

☆容量設定【Capacity Setting】
・Full Capacity
 バッテリーパックの実際の容量
・Cycle Capacity
 サイクル容量の計算に使われる容量
・CellFullVoltage
 100%と認識するセル電圧
・CellEndVoltege
 0%と認識するセル電圧
・Rate of Discharge
 バッテリーパックの自己放電容量
・80% Capacity Vol. ~ 20% Capacity Vol.
 BMS起動時に使われる残量閾値。通常は充放電電流の積算で表示される。
・Switch Time
・LED Time

☆まとめ
 リチウムイオン電池の上限/下限は仕様で確認できますので、適切に設定してください。充電器によっては電圧が出ていないと充電できないタイプがあるので、その場合は下限を低めに設定し、運用でカバーします。
 バッテリ残量はセル電圧からある程度推測することが出来ます・電池の種類や劣化具合によって微妙に異なりますので、ご自分のバッテリに合わせて設定してください。