2019年6月2日日曜日

【まとめ投稿】48VDC/AC100インバータ(3000W)故障修理

Facebook友のTomonori Otaさんから転載許可を頂きましたので、故障修理関連のまとめ記事として掲載します。原文を可能な限り引用しますが、記事構成上適宜編集していますのでご容赦願います。

2019年2月の記事から

☆修理依頼を受けた
 インバータが壊れてしまったようです。状況をお聞きすると、過電流で壊れてしまったと思われました。今回の故障品を取り外しても生活に支障がないとのこと、お時間を頂く形で修理を受け付けました。

修理完了できるかどうか不明ですが、何かの縁ですし尽力したいと思います。

製品名 :リライアブル インバータ(RBP-3000S-LED 48V)
メーカー:パワー・リライアブル

 頂いた写真、AC出力は右側、チョークコイルにインシュロック、これはどこかで見た光景。CTと思われる部品はついていないと思われる左側はDC入力、トランスに[48],[100],[2000],[60]とサインされている。2000W?、いいえ、これは3000W品です。48V?なるほど入力電圧か、ということは60というのは60Vですか。前調査でDC48V-60Vで動作するということは分かっている。2000ではなく3000と見えてきた気がする。
トランスの脇に赤いヒューズが4つ見えるが、切れていなかった模様。この前段の回路はPWM昇圧部分でDC48VからDC100~を作る箇所。

 右下に基板が2枚直立している。おそらくDC/DCとPWMコントロール基板。
前述の昇圧をコントロールしている所。

 送って頂いた写真。どこかで見たコントローラ、表面実装を多用しており見た目が良い。表面実装品はマウンタが作業してくれるので、故意的に部品を変えたりしない限り再現性、生産性は良い。半田不良は一般的に少なめと考えれる。赤LEDが点灯しているが、これはコントロール基板に給電されていますよというサイン。赤はエラーを連想させる。
送って頂いた写真。コンデンサは割れていない。それにしてもヒートシンクに近い。ヒューズは10Ax2で入っている模様。この傾き具合は例の端子で取り付けていると思われる。コンデンサは見た目はサンヨーだが、おそらくSANCONとかだろう。
送って頂いた写真。左からIGBTx4, ダイオードx4, FETx4。不思議ないちにフィルムコンデンサ(右)がいる。もれなくダイオードの足には被覆。不思議。ただ、固定方法は評価できる。本来ならこのようにネジで一個一個アルミフィンにネジ止めする。ネジも三点セムス。

☆インバータがリンゴと供にやってきた
 お手紙とリンゴが同梱され届いた。美味しいリンゴをかじりながら、中を開けてみた。目視で怪しいところをみてみる。

 基板は表面実装品を多用しているが、手付けのところもあり、あまりハンダは熟練されていない作業者が作ったと思われる。ACアウトレットの端子は目も当てられないほどのイモハンダだった。
 さて、前もってご連絡頂いた際の写真で確認していたが、FETはおそらく問題ない。後段のIGBTが焼損している。基板のリペアが必要になるか考える。チップ抵抗が熱で溶けたか、ハンダが吹き飛んている箇所あり。片端子が完全に浮き上がっている。保護用のダイオードも吹き飛んている。

 所々、抵抗が加熱で変色している部品もあった。


R58微妙に色が変わっている。
アース線、一応繋がってはいるが、筐体に菊座なし。抵抗10Ω程度。落ちてない。
板金、これはアイディアものだな。賢いかも。
板金、スペーサ、基板、アルミフィンでネジ止め。これも賢い。組立大変そう。
 ファンは吸出し。フィンに干渉して容易に外れない。
DC入力端子、メガネ10、2本で組立か。作業性悪い。
ACスナップインの端子、引っ張ったら取れた。おそらくイモ半田で基板とついていなかった。
ファン端子(擬似JST)が割れていた。ついでに隣のダイオード触ったら、ポロッと片端子だけ取れた。半田不良。
フィンは皿ネジで仮固定されている。3点セムスのほうがよいかも。
フィンが基板に固定されているのは良い。
萌えたIGBTの取付ネジだけバカになってる。電ドラでナメったか?
 20°位かな。端子根本から曲げられている。特にIGBT側が顕著。穴位置ズレ。確かに板金から通し固定だから曲がるよね。更に仮固定が皿ネジ、これがマズいんだろうね。ガタ分を考えてネジを替えてあげよう。
皿ネジ固定
FET側
バリは取りたいね。基板に刺さるとヤバいよ
IGBT側のタップ。読み通り2mmくらいズレてた。勿体無いから採用したか。
痛々しい。放熱パッドに跡が。

基板
R27
全てのIGBTを取り外した。残念ながら短絡モードで3ケ故障。もともと4交換するつもりだったから、良しとする。
基板裏にコンデンサ足へチップ抵抗の半田あり。最初ゴミかと思った。せめてリード抵抗にすればよいのに。
焼損したIGBT周辺の抵抗とダイオードを抵抗を測りながら外す。高抵抗になり壊れている、割れているものもあった。抵抗値は表記から推測でき、さらに、幸いなことに1チャンネルのみ生きていたことから値は確定できる。何とかなりそう。
電流検知抵抗は焼損していたため、すべて取り外した。これで前段の回路は動作するはず。ダイオードはベースの保護用。パッケージが吹き飛んでいた。
通電、起動が早い。前段の昇圧確認 約190V。少し高いような
無負荷の待機電圧と電流。2W程度か。
高周波の発振音が結構聞こえる。コンデンサは本物かどうかわからないがニチコンやルビコン多用。前段には見た目がサンヨーなSAMXONが実装されている。鳴っているのはフィルムコンかな。やけにうるさい。ジィ〜チィ〜。

☆補修部品着弾
 ようやく部品を受け取った。
電流検出用の抵抗を仮付した。リードタイプと表面実装品の二つを購入しておいてよかった。
チップ抵抗と保護用スイッチングダイオードを再組立した。このくらいならまだいける。
部品取りで保管していたIGBT、新規購入品をすぐに取り付けて壊す恐れがあるため、先の部品を仮付した。無負荷、もしくは低負荷ならフィンなしでも動作可能であることは分かっているのでこのような形をとる。
なるほど、仮付(中古品)でよかった。他にも故障している場所があるらしい。出力切替時間に短絡動作するようだ。スイッチング電源の短絡保護機能で機材を壊さずに済んだ。
 IGBTを取り外した時の昇圧までの動作は再度確認した。壊れてしまったチャンネルは焼損箇所と同じ場所、すなわち、コントローラー側に問題がありそう。フォトカプラで絶縁されてたけど。。。
※ 手順としてコントローラの出力をオシロで見ればよかったです。
 恐らく故障時にコントローラのフォトカプラも壊れてしまったのだと推測します。

 左側 2個のフォトカプラが怪しい。ハンダ吸い取り器が必要になってきたな。流行りのペイペイで店頭買いしてみるか。
取り外した。やはり出力側が短絡で故障している。
TLP250(データシート) 5〜8ピンが短絡

☆フォトカプラ交換
 交換部品が届いたので修理再開。
ツールの勝利。今回から自動ハンダ吸取器を導入したのですが、17ピンの子基板をスルーホールを壊さずに取り除くことが出来ました。
取り外したパッドを清掃。吸い取り線で半田を取る。
中央の2個が壊れていたため交換
足を曲げる
載せ替え完了、ちょっと曲がった。ご愛嬌。
例によって仮つけ
ACは出るようになったが、どこからともなくブルブル音があり。またAC電圧も触れている。AC35Vになっている。
コントローラーの赤点滅3回。どこかで見たな。
 ⇒ over voltage!!
あ、なるほど。わかった。仮付けしたFETと電流検知用の抵抗を取り外し、再実装しよう。メドはたった。

 液漏れしてはいないけど、このコンデンサどうするかだな。見た目はサンヨー。
データシートを探し回ったらあった。素性は怪しいが、どんなもんだろう。一応、ローインピーダンス製品らしい。

☆なんか動作がおかしい
 AC出力まで確認できましたが、以下の点が作業中に気になりました。
【1】無負荷状態で、待機電力が40W程度あり仕様通りか調査必要あり。特にIGBTが発熱している。温度は測っていない。
【2】通電時に異音があり、購入時から同じような状態か聞き取りの必要あり。
【3】怪しいコンデンサ(怪しくないかもしれない)は換装するか意思をお聞きする。

 シャント抵抗を再実装して、もう一度、再通電してみた。故障した箇所のIGBTが手で触れないほど発熱しており、ほかに原因がありそう。AC100は出力するようになったが。どうゆうことだろう。待機電力が異常に高いのはこれが原因かと思われる。

☆原因判明
 故障していた中央のカプラ2個を交換しましたが、残る2個もフルオンしない状態で故障していました。テスターでの判別でしたので、見落としました。完全オンしない中間電圧でしたので、動作はするのですが、異常発熱となったようです。
 5秒位動作、停止を繰り返し、オン時の電圧をテスターで計測、明らかに怪しいカプラ見つけ、交換しました。

☆ようやく修理できました
 オシロの出番はなかった。無負荷と例によってLED電球を点灯させ動作確認しました。
前回のようにIGBTが異常発熱している様子はなく、また、ブルブル音はなかった。中途半端にオンするフォトカプラで発振していたのだと思います。
 待機電力はざっと15W程度。しばらくエージングして筐体組み、そのあと、過負荷試験(ストーブ)で発送となります。修理できてシビレた。良かった良かった。
こんなこと初めて。パターンのヤニ取りのため清掃していたら、銅箔がスルーホールごと剥がれてきた。処置して動作に問題がないこと確認、養生することとする。
 放熱フィンの加工が酷い。バリを取り、スチールウールで軽く磨いておいた。
内側のバリも極力取り除く。もともと毛羽立ってたアルミ片、落ちたらどうなる。下は電圧ラインだよ。メーカーはリライアブルという意味を調べたほうが良い。
穴位置が全くあっていない。絶縁シート。鉛筆か何かで開けたな?
フィンの穴位置あっていないため、基板側を長穴加工にする。
リードの形状が若干異なり、基板スルーホールを加工することに。共通ではないのか。知らなかった。切り欠き分の外側方向余裕が必要。
 IGBT換装完了。昼ご飯食べるの忘れてた。
基板の取り付け穴を長穴加工にしたため、IGBTの脚が根本から曲がるような取り付け回避した。もちろんネジ馬鹿になったビスは廃棄。復習として、燃えたIGBTの取付がネジ不良だった。おそらく手前のコンデンサが邪魔で変な角度で電ドラ締結したと思われる。穴位置も合っていなかったから斜めに入ったのだろう。
コンデンサの放電抵抗。最初ゴミかとおもったやつ。同等品と交換。
 
この忌々しい皿ネジ固定を取り除く!
基板と筐体の間に入っていたスペーサ、異常に組立難しい。

☆最終動作確認
 眩しい。結構格好良いな。修理完了。
動作電圧は60Vまで確認。待機電力は30W
低電圧検知は42Vから動作。ブザーが鳴る。面白いのは40VでもACは出力される。

☆故障対策
 壊れた原因が、どうも腑に落ちない。電流検知のシャント抵抗が焼損するほど突入電流が流れてしまった。おそらく外気温は屋外ということもあり0度以下、その辺の要因もあるかもしれません。また、壊れたIGBTのネジがバカになっていた。足が15度程度曲がっていた。ネジの舐め方が電ドラ、おそらく振動も加えられ組立られた。パッケージ内部が壊れかかっていたかもしれない(動作はするが)。シャント抵抗が焼損したため電流検知できず、過電流は流れ続けた。AC出力を停止させる動作が行われなかった。→焼損するとシャント抵抗が大きくなり、AC出力はオフになる回路。辻褄合わない。

 あぁぁ〜、もしかしてこの穴から水滴が落ちたか!!! たしかこの向きに設置している写真を見た気がする。適当なシールで塞いでもらおう、念の為に。
水を吸ったうどんみたいな配線から、より線処理にした。
改造のときのために記載。
防滴処置、クリアファイルを切り抜く。

以上で修理完了。

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