2020年5月23日土曜日

東芝 SCiB AM01202CCA を24Vシステムで使う場合について

読者様から質問を頂きました。
 『どのような機器を用意すれば使えるのか?』

いやぁ、参った。バッテリ関連機器はピンキリで、自分とかは怪しい中華や有名メーカーのジャンクを直して使っているので、具体的な機器の選定は苦手分野です。((+_+))

 なので、機器選定に必要な考え方や、自分目線で選定したらって感じでまとめてみました。参考になれば幸いです。

充電編
 リチウム電池の充電器と言っても、特別なことをしている訳ではなく、定電流/定電圧(CC/CV)を供給できる電源です。配線の太さにもよりますが、AC100Vで連続供給できるのは概ね900Wですので注意して下さい。
 これにリチウム向けの安全機構として温度監視やMax充電量の設定が出来るものがリチウム向けとして売られています。安価な中華製品は概ねCC/CV電源機能しかありません。(*´ω`*)

 Maxに充電するなら、32.4V 30A 充電器ですが、一般的な電圧ではないので購入後調整が必要。後述するインバータ電圧も考慮すると一般的な29.4V 25A がお勧めかな。

次に、24V鉛バッテリ向けの充電器について考えてみます。
一般的な鉛バッテリの充電器は、3つの充電モードを切り替えて充電しています。

1.バルク充電モード
 ・充電器が出せる最大電流で充電(CC)します。
 ・通常 29.0~30.0V(14.5~15.0V×2)付近で停止しアブソープ充電に移行します。

2.アブソーブ充電モード
 ・定電圧充電(CV)します。
 ・通常バルク充電停止電圧と同じです。
 ・一定電流以下または規定時間でフローティング充電に移行します。

3.フローティング充電モード
 ・バッテリ残量が低下しない程度に、定電圧充電(CV)します。
 ・通常27.0~27.6V(13.5~13.8V×2)

 一般的にリチウム電池の充電電流は細かな管理が必要ですが、バッテリ性能が十分高ければ充電電流を意識せずに使うことが可能です。
 SCiB AM01202CCAの場合、充電完了まで高速充電可能なので
   24V×120A = 2880W
一般的なAC100V充電器の容量をはるかに超えています。( ゚Д゚)

以上をSCiB AM01202CCAの放電特性と重ねるとこうなります。

 バルク充電、アブソーブ充電で85%程度まで充電できますが、フローティング充電に移行すると約60%まで再充電されません
 ソーラーチャージャであれば毎日リセットが掛かるので問題ありませんが、UPSのような常時充電している機器ではバッテリの能力を有効活用出来ない場合があります

 ちなみに、ソーラーチャージャーでは電圧設定を変更できるものもありますので、リチウム電池で使う場合はこちらがお勧めです。

PWM方式
※太陽光パネルの電圧=バッテリ電圧となるため、Vmp電圧と乖離すると効率が下がる。

 MPPT方式と比較して小型軽量なので、車載向けにはいいかも。10A、20A、30Aの他 USB出力 2Aで6種類ある。電流はMOSFETの違いだと思うので、USB2A_30がいいかな。
 
MPPT方式
※太陽光パネルの電圧を最適に保ちながらバッテリに充電可能。パネル電圧の選定範囲を広くとれる。パネル電流に応じて選定します。
 厳密なMPPT機器は少ない。発電量が少ない場合はPWMに切り替わるので、太陽光パネルに合わせて選定したいところ。
 
参考として、12V向けにカスタマイズした時はこんな感じでした。
 ・EPEVER TRIRON 3210N セットアップ メモ1 メモ2
 ・Tracer 4210A(現EPEVER)

番外編
 12V向けの太陽光パネルを使っている場合、24Vシステムで使うためには買い替えが必要。そんな時は昇圧タイプも選定のひとつ。

インバータ編
既に東芝のSCiBバッテリについて 特徴とか使い方とかでも述べていますが、最近のインバータは32V付近まで対応しているので安心です。
個人的なお勧めは、DENRYO SP-1500。SP-2000も気になるが、24Vだと83Aなので配線で苦労しそう。あとSP-1500の方が流通量が多いせいか、費用対効果も良い。(*´ω`*)
   

【コネクタとかブレーカとか】
 配線まわりはこちらでまとめています。
ただ、24Vで1500Wとか2000Wだと62~83Aなので、選定するときは注意が必要です。特に安価な遮断機は少ないので、良い情報がありましたら提供していただけると助かります。2000W以上必要なら48V以上で組むのが楽でいいです。
 ※実際はインバータの変換効率(83%)も考慮する必要があるので、最悪値は74~100Aとしたほうがいいかもしれません。

6 件のコメント:

  1. いつも大変参考にして頂いており、ありがとうございます。
    SCiBを24Vで使う場合、BMSはどのようなものを使えば良いのでしょう?
    無くても充電は安全でしょうか?

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    1. セルのバランスは内蔵のCMUに任せて、バッテリ両端の電圧で管理すればいいと思います。最終的には、CANバス経由でバッテリステータスを読み取ってアラームを出す仕組みがあるといいですね。

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  2. 早々のご回答ありがとうございます。CMUが内蔵されているとは知りませんでした。貴重な情報をありがとうございました。

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  3. 佳源BMSを購入してscib電池につけましたがLTO電池12Sまでは設定しましたが中国語で書かれた項目のパレメータの入力がまだです。
    scib電池BMSのパラメータについて情報ないですか?
    https://youtu.be/VtpXFhepyNs

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    1. なかなか珍しいBMSをお使いですね。バッテリパラメータは上の放電グラフを使って希望の範囲で設定すればよろしいかと思います。

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    2. 中国語の問題はスクリーンショットをOCRに掛けることで解決しました。
      https://youtu.be/CYzcLm_UjO0

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